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2017.10.30 Monday
インナー脱着式ウインタージャケットの利便性を検証する:KUSHITANI名東店

今回の記事は保存版と言ってしまって差し支えありません。

 

えー。

今期のウインタージャケットで、クシタニウインタージャケットはほぼ全モデルが「インナー脱着式」になりました。

 

長く一体式の伝統を守ってきた、パドックジャケットを始祖とするスポーツツーリングモデルも、いよいよインナー脱着式にマイナーチェンジとなり、一体式のモデルはついにチームジャケットのみとなりました。

 

チームジャケットの場合は「90年代からほとんど変わってない」というところがアイディンディティみたいなところもありますので、分けて考えても差し支えなく、「全モデルが」と言ってしまっても問題ないでしょう。

 

さて。

 

皆さんはインナー脱着式のウインタージャケットに対してどんなイメージをお持ちですか?

 

「なんとなく便利そう」ってのがやはり一般的な印象だと思うのですが如何ですか?

実際量販店さんなんかではそういう打ち出しをしてるんじゃないかと予想します。

 

ではどんなところが「便利そう」なのでしょう?

 

それは恐らく以下の二点に集約されるんじゃないかと思われます。

 

(1)インナーを付けたり外したりすることによって、秋〜冬〜春とスリーシーズンをカバーでき、このジャケットにプラスしてメッシュジャケットがあれば年間カバーできる。

 

(2)晩秋や初春のまだ肌寒いけど、昼間は温度があがる季節に、インナーを脱着することによって温度調整が可能。

 

この二点についてですが、まぁ「ほぼ正解」ではあります。

 

ただしこれが「過不足なく」という条件になると、必ずしもそうも言えない・・・ってことをあまりメーカーはちゃんと伝えません。

 

基本的に今からお伝えすることは僕の経験則に拠るものですから、万人に普遍性があるわけではないということをまず申し添えておきます。

ただしライダーとしてもクシタニスタッフとしても30年の経験から、それほど偏っているわけではないということもそれなりに自負しています。

 

まず結論から申し上げますと、インナー脱着式の冬物のインナーを外してアウターだけを使用した場合概ね以下の3点の問題が発生します。

 

 (1)アウターのサイズ感

 (2)アウターの温度調整機能(エアインテーク等)の有無

 (3)インナーの収納性

 

 

そこでこの点について詳細に検討してみましょう。

 

では比較するモデルの紹介です。

 

DSC01108.jpg

 

左側が春・秋ジャケットとして制作された「クラリティジャケット」。

右が2016年のウインターモデル「アーバンジャケット」です。

 

両者ともに「タウンカジュアル&ツーリング」モデルというコンセプトは共通していますので比較するには打ってつけのモデルでしょう。

 

元々が、クラリティジャケットの人気に押され、冬物Verとして登場させたのがアーバンジャケットという位置付けですからこの両モデルは「兄弟モデル」と言ってしまってもいいかと思われます。

 

比較サンプルは両者ともにMサイズです。

 

まず一点目の「アウターのサイズ感の検証」から。

 

これは着用状態をお見せするのが早いでしょう。

 

まず、ジャケットは両者ともこの状態の上に着用しています。

 

DSC01091.jpg

 

ヒートテック一枚ですね。

 

なんかだらしないですねwww

 

まぁ公平を期するためにはこれが一番分かりやすいかと。

 

まずはクラリティジャケット(春・秋)から。

 

DSC01094.jpg

 

DSC01095.jpg

 

これは私物ですからサイズ感はばっちり合ってます。

 

いざとなれば、薄手のミドルインナーくらいは着込める余裕がありますので、使用温度域は15℃〜25℃、使用シーズンは4〜6月と、9〜10月くらいになりますね。

 

恐らくオンシーズンの半分以上はこの手の春秋ジャケットで賄えるんじゃないかと思います。

 

では次にアーバンジャケット(インナー装着状態)です。

 

DSC01092.jpg

 

DSC01093.jpg

 

こちらも冬物としましては申し分のないフィット感です。

 

それではインナーを抜いてみましょう。

 

DSC01096.jpg

 

DSC01097.jpg

 

DSC01098.jpg

 

明らかにオーバーサイズですよね?

 

あらためて比べてみましょう。

クラリティジャケットと、アーバンジャケットインナー抜きです。

 

DSC01094.jpg

 

DSC01096.jpg

 

DSC01095.jpg

 

DSC01098.jpg

 

インナー脱着式ウインタージャケットのアウターだけを使用した場合、いの一番に問題になるのがこの部分です。

 

冬物は「インナーありき」で設計しておりますので、どうしてもサイズ感は大き目になります。

 

では着た印象だけでなく実際に実寸法を比較してみましょう。

 

アーバンジャケットのアウターにクラリティジャケットを乗せてみます。

 

DSC01099.jpg

 

どちらも脇パネルが黒なので分かりにくいんですけど、実際はこのくらいのサイズ差があります。

 

DSC01100.jpg

 

では採寸してみましょう。

 

まずはクラリティジャケットの身幅です。

 

DSC01101.jpg

 

平置きで約52僂任后

 

次にアーバンジャケット(アウター)。

 

DSC01102.jpg

 

同じく平置きで約54僉

 

平置きで2僂虜垢箸いΔ海箸漏絢で4僂虜垢あるということです。

 

つまり「ほぼワンサイズ強」冬物の方が大きくなります。

 

モデルによっては身幅調整機能が付いたモデルがありますが、残念ながらアーバン系には腰ゴム以外にサイズを絞る機能がありません。

 

結果「冬物のアウターのみ」を着用した場合は以下の問題点が発生します。

 

 ●走行時のバタつきやダブつきのリスクが高まる

 ●シルエットが綺麗に出ない

 

 

次に二番目の問題点「温度調整機能の有無」です。

 

春・秋物ジャケットは、よっぽどカジュアルに振ったモデルでなければまずほとんどのモデルにエアインテークを装備しています。

 

DSC01107.jpg

 

しかしウインタージャケットは基本冬場の走行をメインに想定していますので、そういった装備はほとんどのモデルで省略されています。

 

DSC01109.jpg

 

*例外的にゴアテックスウインターモデルのみ装備しています。この辺も含めてフラッグシップってことですね。

 

つまり、春秋用ジャケットに比べ、ウインタージャケットのアウターは「暑くなった時の対応能力に劣る」わけです。

 

エアインテークそのものは、もちろん夏場の使用に対応するほどの能力はありませんが、やはり微妙な温度域の時には「あってよかった」と思う場面は多々あります。

 

 

 

では三番目の「収納性の問題」を検証しましょう。

 

これには若干の注釈が必要です。

 

今までの説明は「インナーを付けているか外しているか」という両極の検証結果です。

 

これからは「一日のツーリング(泊りがけでも同じですが)の中で付けたり外したりして温度調整が出来るか?」ということについて検証していきましょう。

恐らく量販店さんなんかでそういう商品説明を聞かれたことはあるでしょう。

 

朝出発する時には寒いのでインナーを付けて出発した。

しかし日中には暑くなったので外した。

 

確かに便利そうですよね?

 

でもちょっと待ってください。

 

この外したインナーどこに仕舞いますか???

 

DSC01103.jpg

 

一般的なウインタージャケットの中綿はほとんどが化繊です。

 

最近の化繊の性能向上は目覚ましく、同じロフトの保温性ですとほぼ天然のダウンを凌駕する勢いです。

しかも扱いもラフでいいですし、なんと言ってもダウンに比べてコスト的に有利です。

 

ただしどうしてもダウンに劣る部分・・・それが収納性なのです。

 

試しにこのアーバンジャケットのインナーを、僕が日頃よく使っているサイドバッグに入れてみましょう。

 

DSC01104.jpg

 

ほぼ片側のサイドバッグに一杯になってしまいます。

 

これに対してダウンだとどうでしょう?

 

DSC01105.jpg

 

バッグに対する占有体積はほぼ化繊の半分です。

 

これがダウンの持つアドバンテージのうちのかなり上位を占める部分なのですよ。

 

以前もこんなこと書いたと思いますが、10月前半までのまだ日中の気温が高い時期に、ナゼ僕が「春秋ジャケット+ダウン」の組み合わせで出かけるかと言いますと、このダウンの圧倒的な収納性の高さなのです。

 

「寒かったら着る 暑かったら脱いでポンとバッグに仕舞っておく」

 

よほどバッグやケースに余裕がない限り、これが出来るのがダウンであり、そこがダウンの強みなのです。

 

なんでも適材適所ってわけですよ。

 

以上読んでいただいて概ね結論をご理解いただけますでしょうか?

 

つまりインナー脱着式ウインタージャケットは、インナーを外して春・秋用に「使えないことはない」けれども「純然たる春秋モデルと比較して過不足なく使える性能」は有していない。

 

こういうことです。

 

分かりやすく例えると(分かりにくい人も多いかと思いますがw)、超便利ズームと単焦点レンズの違いです。

 

それまでプラナー85mmf1.4でポートレートを撮っていた人が、タムロンの28−300mmf3.5-6.3の85mm域を使って同じ写真が撮れるのかどうか?ってことです。

 

もちろんその人の使用用途に合っていれば、高倍率ズームが唯一無二になる人もいるでしょう。

しかし全焦点距離において、それぞれの焦点距離の単焦点レンズに比べて画質もボケ味も劣らないなんてことは絶対にないわけです。

 

 

個人的な話しになりますが、僕はプライベートのツーリングでインナー脱着式の「アウターだけ」を使用したことはこれまでただの一度もありません。

 

それが相応しい温度域の時には春・秋物を着て行っちゃえばいいわけで、その温度域で着るものに不自由していません(商売ですから当たり前ですがw)。

 

もっと言ってしまえばインナー脱着式の冬物というものが僕はあまり好きでもありません。

なんてったって脱ぎ着が面倒くさい!!!ww

 

特に脱ぐ時にインナーの袖口をいちいちアウターと一緒に抓んでおかないといけないのが耐え難いほど面倒臭いのですwww

 

ただですねぇ。

こういうこと書くと、なんでも極端に捉える人も少なくないんですよ。

 

つまり「インナー脱着式の冬物って意味無いの?」っていう結論に容易に達してしまう例が少なからずあるってことです。

 

そんなわけでここに書いた要旨をもう一回整理しますね。

 

つまり「インナー脱着式ウインタージャケットは、春秋用ジャケットの機能性を完璧に兼ね備えているという幻想を捨てましょう!」ってことが言いたいことのほとんどです。

 

その幻想を捨てれば、またこのインナー脱着式という機能にも別の利便性が見えてくることでしょう。

なんでも使い方次第・・・ってわけですよ。

 

この辺はまた店頭でも詳しく説明しますね!

 

次回いつになるか分かりませんが、逆に「春・秋用ジャケットにダウンインナーを装着すれば、ウインタージャケットと同じ保温性が得られるのか?」ってことについても詳しく解説しまーっす!

 

 

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